STILL ILL

ロスジェネ・氷河期世代の雑記帳。

リハビリ 後編

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草間彌生「Infinity Mirror Room」

ひっそりと常設展示!@ボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン美術館

 

公園の芝生でぼーっと景色を眺めているだけで、シアワセ

心配してくれた友人たちが方々連れ出してくれて、シアワセ

良い美術館、良い展示にたくさん出会えて、シアワセ

 

オランダに到着して1週間で頭の中のモヤモヤ感、こころの不安感は大分解消しました。大分というのは、モヤモヤ感や不安感は適応障害と診断されない状態でも、高度文明社会に生きる私たちにとって、「うまく付き合わなくちゃいけないもの」。すなわち、「完全に解消されないもの」と考えているからです。

要は、会社の人間関係という一番のストレス因から遠く離れた事が一番大きかったのでしょう。そして、大好きな国、大好きな友人たち、大好きなアートに囲まれ…自分にとって心地よい環境が回復をさせてくれたのだと思っています。

ただ、判断能力や処理速度についてはすぐに取りもどせたわけではなく。まず、「AとBのどっちにする?」の単純疑問に答えられるようになりました(…裏を返せば、発症以来、答えるのに通常の倍以上の時間がかかったり、脳から「わからない(焦)」って信号が出るなどして答えに窮していたという事です。不倫した芸能人でもないのに答えられないっていう)。そこから「どこに行きたい?」「何がしたい?」の質問に徐々に答える事ができるようになっていったです。

これは、オランダ人の形容としてよく表現されている論理的かつ合理的思考からくるコミュニケーションのスタイルが僕のリハビリには適していたと思っています。なぜなら、日本人同士だと、あえて説明しなくても、行間を読む、空気を読む、ノンバーバルのコミュニケーションが成り立つ場合が多いからです。会話の際に「〜だと思う」と続けて「なぜなら、〜だからです」というスタイルは、僕の脳の再活性化訓練になったろうなと。

また、ストレートな物言いをする人が多いけれど、そこに冷たいと感じないのも良かったです。おそらく、人間ファースト(人権意識の高さ、人に優しい社会)な部分や、オープンかつ柔軟性を備えた社会システムに依るのではないかと感じています。

他に、文化(特に現代アート)へのアクセスの良さも、救われたところが大きいです。世界最大のミュージアム密度を誇ることや、ゴッホレンブラントなどの才能を生み出したこともそうですが、僕にとっては何よりも「こんなところに高名なあの作品が!」「特に宣伝してないけど、この作品は!」と偶然を装うかのように巡り会える歴史的名品の数々、コレクションのセンスに共感してしまうことが多いのです。例えば、特にいまや天才の名をほしいままにする前衛芸術家・草間彌生の作品が美術館の地下のトイレ行く途中にひっそりと常設展示しているのがなんともカッコよかったり。フツーにゴッホ、フツーに草間に出会える国がオランダかなと思います。(この国でフツーにあえるといったらアイドルですからね)

もちろん、実際に住んでみたら、理想とは異なる部分、見えなかった嫌なことも見えてくるでしょう。ただ、今は大好きな国だし、大好きな友人たちもいる(感謝)、で、大好きなアートに囲まれる…自分にとって心地よい環境がありそうなら、そこに1パーセントでも未来を感じるのであれば、住んじゃってみてから考えればいーじゃん。

 

It just wasn't like the old days anymore

No, it wasn't like those days....

....am I still ill?

Am I still ill?

(The Smiths / Still Ill)